競売にかけられてもリースバックは可能か?
住んでいる住宅がすでに競売にかけられている場合、何らかの対応を早急に行わなければいけません。
早い段階であればリースバックは有効な手段の一つですが、競売にかけられている状態でも可能なのでしょうか?
結論、競売にかけられた物件でもリースバックを利用して住み続けられるケースがあります。
この記事では、競売とリースバックについておさらいし、競売を回避するための方法を紹介します。
競売について解説
競売とは、債権者が債務者から回収できない借金の代わりに、その不動産を裁判所を通じて強制的に売却する手続きです。
競売の開始時期は、主に住宅ローンの返済が滞り続け、金融機関が回収を断念する段階で始まります。
明確な期間は決まっていないものの、3〜6カ月程度の滞納を経て「期限の利益の喪失」が確認されると、2カ月ほどで「差し押さえ」られ競売の準備が始まります。
差し押さえとは、債権者が裁判所を通じて債務者の財産を強制的に管理することです。
差し押さえされると、債務者は自由に自らの財産を手放すことができません。
さらにその1カ月後には『競売開始決定通知』が届き、そこから約9カ月程度で競売が完了します。
その後、競売で物件が販売されると、売却益は債務の返済に充てられます。
ローン残債から売却益を引いた金額が、そのまま物件の所有者の債務となります。
しかし、競売では市場価格の約50%から60%程度で落札されるため、売却後の債務が大きくなってしまいます。
そのため、やむをえない事情で住宅を手放さなければならない場合、競売をいかに回避するかが重要となります。
競売の特徴 |
裁判所を通しての売却滞納から9カ月ほどで競売が決定する市場相場の50〜60%程度でしか売れない売却後の債務が大きくなる |
競売にかけられてもリースバックは可能
結論からお話しして、競売にかけられたとしても、リースバックを活用することで住み続けることは可能です。
リースバックとは、現在の住まいを売却し、新しいオーナーからそのまま賃貸する形で住み続けられる仕組みです。
この方法を用いると、競売を避けつつも住み慣れた自宅を手放さずに生活を続けることができます。
ただし、競売の「開札日」には買い手が決まってしまうので早めに対応が必要です。
裏を返せば、競売にかけられても開礼日前日までにリースバック契約を結ぶことで、競売を回避できるのです。
ポイント
- 開礼日の前日までにリースバックで売買契約を結ぶ
- 開礼日は『競売開始決定通知』が届いて6〜9カ月が目安
リースバックを使うメリット
競売を回避する方法は他にもありますが、ここではリースバックを利用するメリットをチェックしておきましょう。
まとまった資金が手に入る
リースバックでは、自宅を売却して早期にまとまった資金を確保できます。
ローンの残高によってはこの資金を使って一括返済することができ、競売を回避する手段となります。
引っ越しせずに住み続けられる
自宅を売却した後もそのまま住み続けられる点が、リースバックの最大の魅力です。
引っ越しにともなう費用や手間を省けるため、経済的負担が軽減されます。
また、何と言っても住み慣れた家に住み続けられ、生活環境を変える必要がないので、通勤や子どもの通学にも影響を与えません。
手続きが迅速に進む
リースバックは、基本的にリースバックを取り扱う不動産会社が買主となります。
売買契約を結ぶのと同時に、不動産会社が貸主となり元の持ち主と賃貸契約を結ぶという仕組みになっています。
つまり、個人への売却ではないので、買主を探す手間が省け、通常の売却手段と比べても現金化までの期間が短いことが特徴です。
競売にかけられないためには任意売却を活用する
リースバックは競売を回避するための手段となるものの、前提として住宅ローンの残債が不動産の市場価値を上回る、いわゆるオーバーローンの場合、リースバックだけでは不動産を手放せないことがあります。
このようなケースでは、任意売却を併用することで、競売を避けられるかもしれません。
任意売却とは、債権者である金融機関の合意を得て、市場価格で物件を売却する方法です。
任意売却を通じてリースバックを利用すれば、市場価格に近い売却金額で不動産を処分でき、さらに自宅に住み続けることが可能です。
リースバックの注意点
リースバックを検討するのであれば、注意点についても正しく把握しておきましょう。
売却金額は7〜9割程度となる
リースバックは、早期に売却が可能ですが、価格は市場相場の7〜9割程度になることが一般的です。
購入金額回収までのリスクを考慮して購入価格が決定されるためです。
また、オーバーローン状態でリースバックや任意売却を希望しても、債権者である金融機関が首を縦に振らない場合はどちらも利用できません。
家賃がかかる
リースバック後は賃貸として自宅に住み続けるため、当然ですが家賃が発生します。
そのため、売却によりまとまった資金を確保できても、毎月の家賃支払いが新たな負担となる可能性があります。
とくに、任意売却によって手放した場合、ローン残債を抱えているケースがほとんどなので、家賃とローンの返済を同時に行う必要があります。
また、家賃は売却価格や地域の相場をもとに設定されますが、将来的に値上がりするかもしれません。
生活に制限がつくことも
リースバック後は、所有権がリースバック業者に移るため、生活にいくつかの制約が生じる場合があります。
大規模なリフォームや改装が難しくなることや、賃貸契約に基づくルールに従う必要があります。
また、長期的に住み続けることを希望しても、オーナー側の事情によって契約更新ができないケースもあるため、事前に十分な検討が必要です。
まとめ
競売にかけられても、任意売却やリースバックを使った対応で競売を回避可能です。
ただし、開礼日を迎えてしまうと買い手が決まってしまうためなるべく早めに準備を行う必要があります。
任意売却とリースバックを併用することで、早急な不動産の処分が可能なので、時間に限りがあるケースでは有効な手段です。
注意点やリスクを理解しつつ、信頼する業者に相談して競売回避を目指しましょう。