任意売却をするとブラックリストに乗る?信用情報への影響を解説
任意売却を検討する際、多くの人が気になるのが信用情報への影響です。
一般的な認識では、任意売却を行うことでブラックリストに名前が載るのではないかと心配されることもあります。しかし、実際のところどうなのでしょうか?
この記事では、任意売却についておさらいしつつ、信用情報への影響やブラックリストへの影響について、詳しく解説していきます。
任意売却とは?競売との違い
競売とは債務者が一定期間支払いを怠った際に、金融機関が裁判所を通じて不動産を競売にかける手続きです。
競売では、裁判所が定めた日時に不動産が競売にかけられ、最高入札者に売却されます。競売にかけられた場合、不動産は市場価格よりも安く売却される可能性が高く、債務者にとっては損失が大きくなります。
任意売却と競売の主な違いは、任意売却では債務者が自らの意志で売却手続きを進めるのに対し、競売では裁判所が売却手続きを行うため様々な強制力が働きます。
仮に競売にかけられた場合、定められた期限までに立ち退かなければならず、販売条件も悪いので、その後の生活に多大な影響を与えます。そのため、競売を回避するための手段として、任意売却が利用されています。
詳しくは以下記事をご覧ください。
任意売却と信用情報の関係
では、任意売却は信用情報へどのような影響を与えるのでしょうか?
結論からお話しして、任意売却を行うケースでは結果的にブラックリストに登録される可能性が高くなります。その理由について解説していきます。
任意売却自体は信用情報に影響しない
前提として任意売却を行うこと自体が、ブラックリスト入りの理由にはなりません。
任意売却はいわゆる金融事故情報には該当しないため、「任意売却を行うとブラックリストに入る」という情報は誤っています。
ただ、任意売却を行うケースでは、住宅ローンを滞納していることが考えられ、その結果として信用情報に影響を与えるのです。
住宅ローン滞納による「移動情報」への登録
住宅ローンの滞納が続くと、信用情報機関に「異動情報」が登録されます。
「異動情報」とは、ローンや契約の滞納や契約違反が原因で信用力が低下していることを示すものです。
目安として、既に住宅ローンの滞納が3か月以上続いている場合は、「異動情報」が登録されている可能性が高く任意売却後にブラックリストに入る可能性があります。
自己破産による「官報情報」への登録
任意売却後に残債を支払うことが困難で自己破産を行う場合、信用情報機関には「官報情報」が登録されます。
官報情報は、自己破産などの手続きが国の官報に公告されたことを示しており、7年から10年程度は資金の運用が大きく制限されます。
ブラックリストに入れられるとどうなる?
いわゆるブラックリスト入りとは、「移動情報」もしくは「官報情報」のどちらかに登録され信用情報機関で管理されている状態を指します。
ローンの滞納や自己破産によってブラックリストに入れられると、お金に関する様々なことが制限されます。
新たな借り入れが難しくなる
金融機関や貸金業者は、ブラックリストに登録された個人に対して貸し付けを控える傾向があり、新たな借り入れやクレジットカードの審査に通らないということが起こります。また、ブラックリストの情報は金融機関の間で共有されているので、借入先を変更しても難しいでしょう。
住宅ローンや自動車ローンの審査に影響
ブラックリスト入りすると、住宅ローンや自動車ローンなどの大きな借り入れの審査にも影響が及びます。金融機関によって対応は変わるものの審査に通過することが難しくなるか、通過しても金利が高くなる可能性があります。
精神的な負担
債務不履行が続くと、金融機関や貸金業者からの取り立てが行われる場合があります。電話や郵便を通じての督促や催促が行われることもあり、人によっては精神的な負担も大きくなります。
金融事故情報の期間
金融事故情報の登録期間は、異動情報と官報情報によって異なります。具体的な期間は以下の通りです。
異動情報
- 金融事故後、契約が終了してから最大で5年間
- 残債の返済を続けている場合、完済または契約終了後、最大で5年間
官報情報
自己破産などの裁判所を通して債務整理をした場合、官報情報に登録されます。官報情報は信用情報機関ごとに異なる期間が設定されています。
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)は平成21年4月1日より官報情報の収集・保有を中止
- JICC(株式会社日本信用情報機構)は最大5年以内
- KSC(全国銀行個人信用情報センター)は最大10年以内
競売回避を優先する
任意売却自体は金融事故に該当しないものの、その過程やその後の状況においてブラックリストに登録される可能性が高くなります。
任意売却してもブラックリストに登録されるなら、競売でもいいのでは?と考える人もいるかもしれませんが、競売は相場よりも低い価格で不動産が取引される可能性が高く、残債が大きくなることでその後の生活が圧迫されます。
不動産を手放さざるを得なくなった場合は、まずは競売を回避することを優先し早めに任意売却に取り組みましょう。