住宅ローンの滞納は何ヶ月まで?滞納後に起こることを解説
離婚や病気、失業などライフスタイルの急な変化によって、住宅ローンの支払いが苦しくなったとき、もし滞納してしまうと何が起こるのでしょうか?
もちろん、最も大切なのは、家計を立て直ししっかりとローンを返済することです。しかし、万が一滞納してしまった場合に起こることを解説します。
住宅ローンを滞納するとどうなる?
結論からお話しすると、住宅ローンの滞納が続くと、住む場所を失い多くの債務を抱える可能性が高いです。
住宅ローンを一定期間以上滞納すると、債権者である金融機関は「抵当権」を行使可能になります。
抵当権とは、住宅ローンを組む際に不動産を担保とする債権者の権利です。
支払いが見込めなくなった住宅ローンの代わりに、住宅を売買することで残債の回収を行います。
同時に、債務者である住民にとっては、自宅を差し押さえられ住むことができなくなってしまいます。
また、差し押さえられた住宅はほとんどの場合「競売」にかけられ、相場よりも低い価格で手放さなければいけません。
多くのケースで売却金額だけでは残債を完済できず、自宅に住めなくなるばかりか多大な債務を抱えることとなり、最悪自己破産の可能性もあります。
そのため、住宅ローンを滞納する可能性があれば早急に金融機関に相談し、プランの見直しや家計の健全化を行う必要があります。
しかし、すでに住宅ローンを滞納してしまっている場合は、競売を回避するための立ち回りが必要です。後ほど詳しく解説します。
競売まで何カ月?
住宅ローンを最初に滞納してから、競売の開始までは10カ月ほどかかります。
「では10カ月までなら滞納しても問題ないのか?」と言えばそんなことはありません。
実際には4〜6カ月ほどで「期限の利益喪失」を告げる通知が届き、金融機関に住宅ローンの残額を一括で返済しなければなりません。しかし、実際に一括返済をできる人は多くなく、この通知書が競売への分水嶺となります。
また、保証会社と契約している場合、7カ月目には保証会社から「代位弁済通知」が届きます。これは保証会社が債務者に代わって、ローン残額を支払った通知で、以降は保証会社に抵当権がうつります。
債権者の申し立てが裁判所に認められると、数週間で競売開始が決定され「競売開始決定通知」が届きます。
最初の滞納から10カ月後には競売が開始され、物件が一般公開されます。裁判所の許可が下りた買主に物件の所有権が移転され、競売終了です。
住宅ローンを滞納したら
現時点で支払いはできているものの、今後住宅ローンを滞納する可能性がある、もしくはすでに住宅ローンを滞納してしまっている場合の対応方法について解説します。
家計の健全化
今後滞納の可能性があれば、まずは家計を見直しましょう。
保険料や通信費など、定期的にかかる支出の中から不要なものや高額なものを確認し、契約の見直しや解約を行います。
また、娯楽費や交際費の削減を行うことで、家計の負担を減らし返済資金を確保しましょう。
金融機関に相談する
家計を見直しても支払いが厳しい場合や、すでに滞納してしまっている場合、住宅ローンを借りている金融機関に早めに相談し、返済計画の見直しや金利交渉を行います。
場合によっては、一時的な元金返済の猶予や、返済期間の変更などの提案も受けられるかもしれません。
なるべく滞納が発生する前に相談し、選択肢を得ることが大切です。
借り換えを検討する
現在よりも金利の低い住宅ローンへ借り換えることで、毎月の返済額を抑えられます。
しかし、融資手数料や抵当権設定登記費用などの諸費用も必要なので、資金に余裕があるうちに検討しましょう。
滞納前に売却する
住宅ローンを滞納する前に家を売却することも検討しましょう。
ただし、不動産を売却するには今手元にある資金と売却資金でローンを完済できることが前提です。
不動産会社に物件の査定を依頼し、完済が難しい場合は「任意売却」という選択肢もあります。任意売却については後ほど解説します。
任意売却という選択肢
通常、不動産を売却するためには、手持ちの資金と売却資金でローン残債をゼロにし、抵当権を抹消できることが条件です。
一方、任意売却は専門の不動産会社が抵当権を持つ金融機関と交渉し、同意を得て販売を行うため、残債の残る不動産の売却も可能です。
また、任意売却は強制的に売却される競売に比べて市場価格に近い金額で売れる可能性が高くなります。
さらには、通常の不動産売却と同じように不動産会社が仲介して売却活動を行うため、債務者の希望をある程度反映した条件で売却が進められます。例えば、売却金額からの引越し資金の捻出や、引越し時期の相談なども交渉可能です。
ただし、任意売却は競売の開札日前日までに売却資金で残債の支払いを完了させる必要があります。
任意売却の手続きを進めていても、開札日を迎えるとその時点で任意売却ができなくなるため、競売のスケジュールには十分注意する必要があります。
この点からも、ローンを滞納した場合は早めの行動が必要になるのです。
任意売却の後はどうなる?
任意売却後も残債の返済は続きますが「リースバック」という仕組みを使って、今住んでいる物件に住み続けることも可能です。
リースバックとは、売却先の買主と賃貸借契約を結び、賃貸住宅として毎月の家賃を支払うことで売却した住宅にそのまま住み続けられる仕組みです。
リースバック事業者が物件を買い取るため、短期間で売却が可能であり、引越しをしなくてよいというメリットがあります。
ただ、リースバックによる売却価格は通常の不動産売却に比べて安くなる傾向があることを認識しておきましょう。
愛着ある家を離れたくないという場合には有効な手段なので、今後のことを考えて検討しましょう。
まとめ
住宅ローンの滞納が続くと、信用情報に滞納履歴が掲載されるだけではなく、最悪の場合、競売で不本意な形で家を手放さなければいけません。
住宅ローンの支払いが厳しいと感じた場合には、まずは家計の見直しから始め、金融機関への相談や借り換えを検討しましょう。
それでも返済が難しい場合には、早めに売却を検討しますが、売却資金によってローンを完済できることが前提です。
最終的な手段として、任意売却やリースバックについて知っておくことで、競売を回避できる可能性が高まり、その後の生活を守ることにつながるでしょう。