売ってリースバックした家に住み続ける方法
「住み慣れた家に住み続けたいけれど、まとまった資金も必要…」そんな悩みを解決する選択肢の一つが「リースバック」です。この記事では、リースバックの仕組みから、実際に住み続けるためのポイント、将来的な再購入についてまで、詳しく解説します。

リースバックの賃貸契約期間
リースバックにおける賃貸契約で最も一般的なのは定期借家契約です。定期借家契約とは、契約期間が満了すると更新されることなく終了する契約です。具体的な期間は2年から5年程度で設定されることが一般的ですが、物件やリースバック事業者によって異なります。契約期間が満了した際には原則として退去する必要がありますが、リースバック事業者との合意があれば再契約を結ぶことができる場合があります。ただし再契約時の賃料や条件が見直される可能性もあります。
リースバックの契約方法
リースバックの契約は、売買契約と賃貸借契約の2つが同時に行われるのが一般的です。賃貸借契約には「定期借家契約」と「普通借家契約」の2種類があります。
定期借家契約
多くのリースバックで採用される契約形態です。契約期間が満了すると原則として契約は更新されず、退去する必要があります。しかし貸主(リースバック業者)との合意があれば、再契約が可能な場合もあります。契約期間は、例えば3年、5年、10年などリースバック業者や個々の契約によって異なります。一定期間住み続けられる安心感がある一方、再契約が保証されないという点は借主(住み続ける人)にとってデメリットとなります。
普通借家契約
リースバックではまれに採用される契約形態で、借主に有利な契約です。正当な理由がない限り、貸主から賃貸契約解除や更新拒否をすることができません。契約期間は通常1年以上で定められ、期間満了後も自動的に更新されます。借主にとって有利な点が多い分、注意点もあります。一般的に普通借家契約の場合は定期借家契約よりも家賃が高くなる場合が多く、リースバックを利用した上で高い家賃を払い続けるのか慎重に検討する必要があります。
リースバックした家に住み続ける方法
リースバックした家に再び住み続けるための最も直接的な方法は再購入することです。リースバック契約には再購入に関する条項が盛り込まれている場合があり、その条件を満たす場合には再購入が検討できます。再購入が可能かどうか、またその条件はリースバック契約によって大きく異なるため、契約締結時にしっかりと確認しておくことが非常に重要です。
再購入の方法は一般的には以下の流れで進みます。
再購入の意思表示
リースバック事業者に対して再購入したい旨を伝えます。契約で定められた期間内に申し出る必要がある場合があるので、契約書をよく確認しましょう。
再購入価格の決定
再購入価格は契約時の取り決めやその時点での市場価格などを参考に、リースバック事業者と協議して決定されます。住宅の現状を確認して査定が行われることもあります。
売買契約の締結
再購入価格などの条件で合意したら、改めて売買契約を結びます。
所有権移転登記
資金決済後、法的に所有権を移転する手続きを行います。この手続きが完了すれば、一度リースバックで手放した家が再び自己保有資産となります。
再購入について確認しておくこと
契約内容によっては将来的に再購入を希望しても実現できない可能性があります。契約締結前に、口頭説明だけでなく再購入に関する条項について十分に理解し、納得のいく条件であることを確認しましょう。リースバック契約を結ぶ際に再購入の可能性を残したい場合は、以下の点を契約前に確認しておく必要があります。
再購入の権利と期間
まず確認すべき点は、契約書に買戻し特約などの再購入に関する条項が明記されているかどうかです。再購入に関する記載がない場合、後から再購入を申し出てもその申し出自体が受け付けられない可能性があります。もし再購入特約がある場合も、その権利の有効期間を把握することが重要です。いつからいつまで買い戻しが可能であるのか、具体的な期間を確認しましょう。また再購入の意思表示をどのように行う必要があるのか、その行使方法についても確認しておく必要があります。
再購入価格の決定方法
再購入時の価格がどのように決定されるのかも重要なポイントです。契約時に固定価格が定められているケースはまれであり、一般的には再購入時の市場価格を基準とするか、売却価格に一定の利率を上乗せするなどの算定方法が用いられます。具体的な計算方法や、再購入時に不動産鑑定士による査定が行われるかどうか、その際の費用負担についても確認しておきましょう。
再購入の優先順位
同時期に他の購入希望者が現れた場合に、元の所有者であるあなたに優先的に交渉する権利が与えられているかを確認することも大切です。これは必ずしも再購入を保証するものではありませんが、権利があれば有利に交渉を進められる可能性があります。もし優先順位がない場合は、他の購入希望者と同様の条件で競争に参加する必要があるのかどうかを確認しておきましょう。
再購入のタイミングと期限
再購入の意思表示を行う期限や、実際に売買契約を締結し決済を完了させる実行期限が定められているかを確認します。これらの期限を過ぎてしまうと再購入の権利を失う可能性があるため、口頭ではなく契約書で明確に取り決めておく必要があります。
再購入にかかる諸費用
再購入時には不動産価格のほか、仲介手数料、所有権移転登記にかかる費用(登録免許税、司法書士への報酬)、住宅ローンを利用する場合は融資手数料や保証料など、様々な諸費用が発生します。再購入の検討にはこれらの費用の概算について事前に確認し、資金計画に含めておくことが重要です。
再購入の条件
リースバック契約期間中に賃料の滞納がないことなど、再購入の権利を行使するための条件が定められている場合があります。これらの条件を遵守していることが再購入の権利を行使するための前提となるため、しっかりと確認しておきましょう。また再購入時の物件の状態が契約締結時と大きく異なる場合に、再購入価格に影響があるかどうかも確認しておくと良いでしょう。
まとめ
リースバックは、住み慣れた家に住み続けながらまとまった資金を調達できる魅力的な選択肢です。しかし賃貸契約期間や賃料、再購入の条件など、注意すべき点も少なくありません。とくに長く住み続けたい場合はメリットとデメリットをしっかりと理解し、ご自身の状況や将来設計に合わせて慎重に検討することが大切です。複数のリースバック業者から話を聞き、契約内容を十分に確認した上で後悔のない選択をしてください。必要に応じて専門家のアドバイスも積極的に活用しましょう。