マンションや家のリースバックとは?わかりやすく解説
やむを得ない事情で住んでいたマンションや家を手放すとき、「リースバック」という方法を使えばそのまま住み続けられる可能性があります。
この記事では、不動産を売った後もなぜそのまま住み続けられるのか、その仕組みについて解説します。
リースバックとは売却した家を借り直す手法
リースバックとは、住宅を売却した後、その住宅を賃貸契約により借り直す手法です。
この方法は「セールアンドリースバック」とも呼ばれ、売却と同時にそのまま住み続けることができます。
リースバックは、自宅を売却することで得た資金を手に入れつつ、住み慣れた場所に住み続けることができるため、何らかの目的でまとまった資金を必要とする人々に人気があります。
ただし、大きな資金が動くため、リースバックの利用は慎重に考える必要があります。
リースバックが必要になっている理由
リースバックは近年になって注目され始めた資金調達の手法です。
その背景には、経済的な理由や現代人のライフスタイルの変化があります。
例えば、離婚や失業など何らかの理由によって経済的に困窮し住宅ローンが払えなくなった場合、自宅が差し押さえられてしまう可能性もあります。
差し押さえられる前に、売却や「任意売却」【任意売却関連記事へのリンクをお願いします】などの手段を使って不動産を手放し、リースバックを利用することで、継続して自宅に住むことも可能です。
ほかにも、老後の資金を確保したい高齢者や、起業などでまとまった資金が必要な人々にとって、自宅を売却してもそのまま住み続けられるリースバックは有効な手段となっています。
リースバックの仕組み
リースバックは、売買契約と賃貸契約を同時に結ぶことで可能となる仕組みです。
いたってシンプルな仕組みであり、希望をすれば将来的に買い戻すことも可能です。
利用までの流れは以下の通りです。
- 住宅の売却
まず、自宅をリースバックに対応する不動産会社やファイナンス会社に売却します。
- 賃貸契約
売却後、買取先と賃貸契約を結びます。
- 家賃の支払い
毎月家賃を支払い、賃貸を継続します。
また、リースバックでは一般的に定期借家契約が用いられます。2年や4年といった期間で更新を行うことで、長期間現在の住宅に住み続けることも可能です。
リースバックのメリット
リースバックには、主に3つのメリットがあります。
引っ越し不要
リースバックでは、売却後も同じ場所に住み続けられるため、引っ越しの手間がかかりません。
もちろん引っ越し費用もかかりませんし、何よりも住み慣れた環境を維持できることは、大きなメリットです。
特に、小さな子どもがいる場合は学区や環境が変わることがないので、家族も安心してその後の生活を続けられます。
家の維持コストが削減される
リースバックされた物件は、不動産会社が維持管理を行うため、固定資産税や修繕費といったこれまで必要だった維持コストを削減できます。
そのため、災害によって建物が損壊してしまうリスクにも対応できます。
資金調達が迅速に行える
通常の不動産売却と比較して、リースバックは迅速に資金調達ができる点が魅力です。
リースバック業者が即座に現金で買い取るため、数カ月かかることもある通常の売却手続きと比べて、早期に資金を得ることができます。
リースバックのデメリット
一方で、リースバックにはいくつかリスクも存在します。
そのため、必ずこれから紹介するデメリットを理解して検討しましょう。
また、分からないことがあれば契約を結ぶ不動産会社にその都度確認が必要です。
売却価格が低くなる可能性
リースバックで不動産を売却する場合、価格は市場価格より低く設定されることが多いです。
不動産会社は購入金額に対して、どのくらい利益が出るか査定して価格を提示するからです。
そのため、仮に高い価格で売れたとしても、その分家賃も高くなる可能性があります。
家賃の支払いが必要
リースバック後は、毎月の家賃支払いが必要です。
家賃が高額になると、生活費の負担が大きくなる可能性があります。
もし、住宅ローンの残債があれば、家のために二重にお金を払い続けなければなりません。
契約期間が限られる
リースバックの賃貸契約は一般的に、定期借家契約を結ぶ形になります。
契約期間終了後、再契約できない場合は退去しなければならないこともあります。
長期的に住み続けるためには、契約期間や契約形態を事前に確認しておく必要があります。
リースバックが利用されるシーン
リースバックがどのようなシーンで利用されるのか紹介します。
老後資金の確保
リースバックは、老後の生活資金を確保する手段として有効です。
自宅を売却することでまとまった資金を手に入れ、同時に住み慣れた場所に住み続けることができます。
住宅ローンの返済
住宅ローンの返済に困っている場合、リースバックで得た資金を返済に充てることができます。
ただし、リースバック後は家賃の支払いが発生するため、現在の住宅ローン返済額と比較して検討する必要があります。
相続対策
リースバックは相続対策としても利用されます。自宅を売却して現金化することで、相続人間のトラブルを避けることができます。
売却金額が期待できない場合でも、将来的な空き家対策にもなり家族や親族の負担を減らすことにもつながります。
住み替えのための資金調達
住み替えを希望する場合、リースバックで得た資金を新居購入の頭金や引っ越し費用に充てることができます。
また、新居が見つかるまでの間、現在の自宅に住み続けられるため、仮住まいを探す必要がありません。
まとめ
リースバックは、まとまった資金の調達の手段として有効な手段です。
なかでも、そのまま家に住み続けられることは大きなメリットで、生活環境を変えたくない人々に利用されています。
しかし、大きな資金が動くため、慎重に判断しなければなりません。
売却価格や家賃、契約内容をよく確認し、自身の生活設計に合った選択をすることが大切です。
不動産会社としっかり相談し、納得のいく形でリースバックを利用しましょう。