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自己破産をすると持ち家はどうなる?生活への影響は?

自己破産をすると、手持ちの財産はほとんど手放すこととなります。

なかでも大きな資産である持ち家がどうなるのか?ということでは気になるはずです。

この記事では、自己破産すると持ち家がどうなるのか、ということについて詳しく解説します。

自己破産したら持ち家はどうなる?

自己破産をすると、基本的には持ち家は手放すことになります。

もし、住宅ローンが残っている場合、その家には通常「抵当権」が設定されています。

この抵当権が行使されると、債権者である金融機関は持ち家を競売にかけることで、ローンの返済に充てるのです。

ただ、競売が完了するまでは持ち家に住み続けることができます。

すぐに追い出されるわけではなく、買い手が見つかるまでの一定期間は家に居住できるため、引っ越しの準備を進める時間はあります。

しかし、最終的には持ち家を手放さなければなりません。

住宅ローンの支払いが終わっている場合でも手放す?

住宅ローンを全額返済している場合でも、持ち家を手放さなければならない可能性が高いです。

自己破産手続きでは、持ち家は財産として評価され、破産管財人がその家を競売にかけることで現金化されます。

得られた代金は債権者への分配に充てられるため、持ち家を守ることは難しいでしょう。

ただ、自己破産後も持ち家に住み続けられる手段もあります。

後ほど詳しく解説します。

自己破産から競売までの流れ

自己破産をして持ち家が競売にかけられる場合、以下のような流れをとります。

競売の開始決定

まず、金融機関が裁判所に対して「競売申立て」を行い、裁判所から競売の開始が決定されます。

競売申立てがされると、持ち家の所有者には裁判所から通知書が届き、競売手続きが開始されることが正式に知らされます。

状況調査

次に、裁判所の執行官が持ち家を訪問し、物件の状況を確認します。

写真撮影や物件の内部調査が行われ、競売にかけるための詳細な情報を集めますが、まだ持ち家に住み続けられます。

競売情報の公開と入札

裁判所が集めた情報をもとに、インターネット上に競売物件の情報が公開されます。

この情報をもとに入札が始まり、購入希望者がそれぞれの希望額を提示します。

売却許可決定

入札の結果、最も高い金額を提示した者に対して、裁判所が売却許可を出します。

買受人が代金を納付した後、その物件の所有権は新たな買受人に移り、持ち家の元所有者は家を明け渡すことになります。

競売の開始決定からここまで、およそ半年程度の猶予があります。

自己破産時の注意点

自己破産をする際には、持ち家をめぐるいくつかの注意点があります。

とくに破産者以外の名義に変更しようとする行為は「財産隠し」と見なされる可能性があるため、絶対に避けなければなりません。

名義変更による財産隠しのリスク

自己破産前に持ち家を配偶者や子どもなど他の家族名義に変更すれば、財産の処分を避けられると考える方もいますが、これは法律上認められていません。

破産手続きが進む中で、名義変更が行われた事実が発覚すると、その行為が「財産隠し」とされ、破産手続き自体が認められなくなる可能性があります。

これまでの借金も免責されないため、その後の生活が立ち行かなくなる危険性が高いです。

夫婦の共有名義における注意点

持ち家が夫婦共有名義であった場合、たとえ破産者が夫だけであっても、持ち家全体が競売の対象となることがあります。

共有名義の持分のみでは物件の売却が難しいため、共有物分割請求訴訟などを通じて、結果的に家全体が競売にかけられることとなるでしょう。

自己破産後も持ち家に住み続ける方法

自己破産をすると、通常持ち家を手放さなければなりません。

しかし、どうしても持ち家に住み続けたいという方には、いくつかの方法が残されています。

家族に持ち家を購入してもらう

自己破産後、親や配偶者などの家族に持ち家を購入してもらうことで、持ち家に住み続けることが可能です。

ただ、この方法には条件があります。

まず、破産管財人を通して適正な価格で売却しなければならず、さらに一括で購入する必要があります。

自由財産の拡張手続きをする

自由財産の拡張手続きにより、持ち家が自由財産として認められる場合もあります。

老朽化した建物や価値のない土地は自由財産として扱われることが多いですが、比較的高い資産価値がある持ち家も、裁判所の許可を得て自由財産として認められることもあります。

ただし、難易度が高く、「住み続けるしかない」という強い理由が必要です。

トピック:自由財産とは

「自由財産」とは、自己破産手続きにおいて、破産者が処分されずに保有できる財産のことを指します。

自己破産するとすべての財産が債権者に分配されるために処分されますが、最低限の生活を維持するために必要な財産については保有が認められます。

自由財産として認められるものは、以下のとおりです。

・99万円までの現金

・生活に必要とされる差し押さえが禁止されている財産(例:日常的な生活用品や衣類)

・破産手続きを開始した後に取得した新たな財産

リースバックを利用する

リースバックとは、持ち家を不動産会社に売却し、その後賃貸借契約を結んで家賃を支払いながら同じ家に住み続ける方法です。

持ち家自体は手放すことになりますが、生活環境を変えずに済むのが利点です。

ただし、リースバックの家賃は不動産会社が設定するため、家賃が高額になる可能性もあります。

リースバックに関してはこの記事で詳しく解説しています。

自己破産の前に検討したいこと

自己破産は借金を整理するための最終手段でほとんどの場合持ち家は手放さざるを得なくなります。

しかし、そうならないために、事前にできることもあります。

ここでは、自己破産の前に考えるべき3つの方法について解説します。

個人再生を検討する

個人再生は、借金を大幅に減額し、一定期間で返済していく手続きです。

例として、「住宅ローン特則」を活用すれば、住宅ローンを除いた借金のみを再生計画に組込み、持ち家を残したまま他の借金を返済できます。

ただし、住宅ローンを含めてすべての借金を整理するわけではないため、住宅ローンの支払いが滞っていないことが前提となります。

任意売却を検討する

自己破産する前に、任意売却を検討してみましょう。

任意売却は、専門の不動産会社が抵当権をもつ金融機関と交渉し、許可を得ることで持ち家を売却する方法で、競売よりも高い価格で売ることができます。

また、競売にかけられる前に持ち家を手放すことができ、破産手続きによる経済的なダメージを軽減できます。

任意整理を検討する

任意整理は、利息を引き直して債務を整理し、残った借金を分割返済する方法です。

住宅ローンを対象から外すことができるため、持ち家を守りながら借金問題を解決できる可能性があります。

一人で抱え込まずに専門家の力を借りる

自己破産を行うと、基本的には持ち家を手放すことになりますが、これまで紹介した手段を用いることでそのまま持ち家に住み続けられる可能性があります。

いずれの手段も専門的な知識が必要となるので、司法書士や弁護士などの専門家に相談が必要です。

また、リースバックや任意売却を検討するのであれば、それに特化した不動産会社に相談しなければなりません。

一人で抱え込まずに、使えるサービスを使うことで今後の生活を守ることにつながるでしょう。