任意売却

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任意売却の成功率は?確率を高める方法も紹介

住宅ローンの返済が困難になったとき、強制的な競売を避けるための有効な手段のひとつとして任意売却があります。しかし、「任意売却を希望して、手順をふめば必ず成功する」というわけではありません。この記事では、任意売却の成功率がどのくらいなのかという実情から、成功率が低くなるケース・高まるケース、そして成功の確率を上げるための具体的な方法について詳しく解説します。住宅ローンの返済でお悩みのかたが、少しでも有利な条件で問題を解決するための一助となればさいわいです。

任意売却の成功率は6割程度

任意売却の成功率は、一般的に5割から6割程度といわれています。これは依頼を受けた不動産業者が、実際に任意売却を成功させられる割合です。ただしこの成功率は、依頼する不動産業者の実績や、すでに始まってしまった競売手続きの進行状況によって大きく変動します。とくに、競売の申し立てが行われる前に任意売却の手続きを開始した場合は成功率が高く、9割を超えるケースもあります。その一方で、競売開始決定通知が届いたあとでは成功率が下がる傾向にあります。住宅ローンの返済が困難になった場合は早めに専門家へ相談し、迅速に行動を開始することが成功率を高めるうえで重要です。

任意売却の成功率が低くなるケース

任意売却の成功率が低くなってしまうのは、主に以下のようなケースです。

売出価格が高すぎる

債権者(金融機関)は、できるだけ多くの債権を回収したいと考えるため、市場価格よりも高い価格での売却を希望することがあります。しかし、相場と離れた価格では買い手が見つからず、時間だけが過ぎてしまい、最終的に競売になってしまう可能性があります。

不動産業者選びの失敗

任意売却は、通常の不動産売却とは異なり、債権者との交渉など専門的な知識と経験が必要です。任意売却の実績が乏しい不動産業者に依頼してしまうと、交渉が難航したり、適切な販売活動が行われなかったりして、売却に至らないことがあります。

共有者や連帯保証人の同意が得られない

不動産が共有名義の場合、共有者全員の同意がなければ売却できません。また、連帯保証人がいる場合、そのひとの同意も必要です。これらの関係者の協力が得られないと、手続きを進めることができず、任意売却は失敗に終わります。

販売活動への非協力

購入希望者が現れた際の内見(内覧)に協力的でない場合、販売機会を逃してしまいます。「仕事が忙しい」などの理由で内見を断ったり、室内の清掃や整理整頓がされていなかったりすると、購入希望者の意欲を下げてしまいます。

税金や管理費の滞納額が多すぎる

固定資産税などの税金や、マンションの管理費・修繕積立金を長期間滞納していると、その滞納額が売却代金から差し押さえられることがあります。滞納額があまりに大きいと、債権者が受け取る返済額が減ってしまうため、任意売却そのものに同意してもらえない可能性があります。

任意売却の成功率が高まるケース

一方で、以下のようなケースでは任意売却の成功率が高まります。

適切な価格設定

地域の不動産市場や競合物件の状況を正確に把握し、適正な価格で売り出すことができれば、買い手が見つかりやすくなります。不動産業者が市場価格について客観的なデータを示し、債権者を説得できるかどうかが鍵となります。

任意売却に強い不動産業者への依頼

専門的な経験が重要な任意売却においては、より実績のある不動産業者を選ぶことが重要です。任意売却の経験が豊富な不動産業者に依頼することで、金融機関との交渉や、購入希望者へのアピールを的確に行うことができます。過去の実績や金融機関との関係性が良好な業者であれば、よりスムーズに手続きを進めることが期待できます。

早めの相談と行動

住宅ローンの返済が困難だと感じたら、早い段階で相談して行動を起こすことが非常に重要です。時間に余裕があれば、販売活動に十分な時間をかけることができ、より良い条件での売却が期待できます。とくに競売手続きが始まる前に動き出すことが、成功率を大きく左右します。

関係者全員の協力体制

所有者本人だけでなく、共有名義人や連帯保証人など、関係者全員が任意売却に協力する意思を持っている場合は、手続きは円滑に進みます。事前に状況を丁寧に説明し、理解と同意を得ておくことが大切です。

任意売却を成功に導くポイント

任意売却を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。

まず第一のポイントは、「任意売却の実績が豊富な不動産業者を選ぶこと」です。これがもっとも重要といっても過言ではありません。業者選びに成功すれば、債権者との交渉から販売戦略の立案、購入希望者の探索まで、安心して任せることができます。

第二に「できるだけ早く行動すること」です。返済の滞納が始まる前や、滞納してしまっても初期の段階で相談することが、成功への近道です。時間が経つほど選択肢は狭まり、競売へと近づいてしまいます。

第三のポイントは、「販売活動に協力すること」です。購入希望者からの内見依頼にはできる限り対応し、家の中をきれいな状態に保つよう心がけましょう。物件の魅力を最大限に伝える努力が、成約につながります。

最後に第四のポイントとして、共有者や連帯保証人がいる場合は、必ず事前に相談し、同意を得ておくことです。関係者との良好なコミュニケーションが、手続きを円滑に進めるための基礎となります。

また、留意しておきたいポイントとして、残債の存在があります。任意売却が無事に成立しても、売却代金でローンを完済できるケースは少なく、債務が残る可能性もあります。この残った債務(残債)は、自己破産などの債務整理を行わない限り支払い義務が続きます。ただし、任意売却後は債権者と返済計画について改めて話し合い、収入や生活状況に応じた無理のない金額で分割返済していくのが一般的です。任意売却を依頼した不動産業者が、この残債交渉までサポートしてくれる場合もあるため、売却後の生活再建まで見据えて相談できる業者を選ぶことが大切です。

まとめ

任意売却の成功率は、一般的に6割程度と決して高くはありません。しかし、成功率が低くなる要因を避け、成功率を高めるための行動を実践することで、その確率を大きく引き上げることは可能です。とくに重要なのは、信頼できる任意売却の専門家をパートナーに選び、できるだけ早く行動を開始することです。住宅ローンの返済にお困りの際は、ひとりで抱え込まず、まずは専門の不動産業者に相談してみてはいかがでしょうか。