不動産売却

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固定資産税を滞納するとどうなる?払えないときの対処法も紹介

土地や家といった不動産を所有している限り、毎年必ず向き合うことになるのが「固定資産税」です。もし、経済的な事情の変化などで固定資産税を払えずに滞納してしまったら、一体どのような事態が待ち受けているのでしょうか。

本記事では、固定資産税の基本的な仕組みから、滞納した場合に起こる延滞金の発生、財産の差押え、そして最終的には競売に至るまでの具体的な流れを、順を追って詳しく解説します。さらに、万が一支払いが困難になった際に、慌てず適切に対応するための具体的な対処法もご紹介します。

固定資産税とは

固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)の時点で、土地、家屋、および事業のために使用している機械や備品などの償却資産(これら3つを総称して「固定資産」といいます)の所有者に対して課される地方税です。

納税義務者は、この賦課期日時点での固定資産の所有者です。年の途中で不動産を売買した場合でも、その年の納税義務は1月1日時点の所有者にあるため、売主と買主の間で税額を日割り精算するのが一般的です。

納税先は、固定資産が所在する市町村です。税額は、市町村が決定した「課税標準額」に標準税率である1.4%を乗じて算出されます(税率は自治体によって異なる場合があります)。算出された税額と納付期限が記載された「納税通知書」が、通常4月~6月頃に所有者へ送付され、年4回に分けて納付するのが一般的です。

固定資産税を滞納するとどうなる?

納期限までに固定資産税を納付しなかった場合、法律に基づいて段階的に厳しい措置が講じられます。

まず、納期限の翌日から延滞金が発生します。延滞金の利率は、滞納期間に応じて高くなるのが一般的です。さらに滞納を続けると、市町村から「督促状」が送付されます。これは単なるお知らせではなく、法律に基づく正式な通知です。この督促状を無視していると、電話や書面、あるいは職員の訪問による「催告」がおこなわれることがあります。それでもなお納付されない場合、最終的には財産調査がおこなわれ、預貯金や給与、そして所有している不動産などの財産が差押えられる可能性があります。

固定資産税の滞納から競売までの流れ

固定資産税の滞納を放置した場合、最終的に不動産は強制的に公売(競売)にかけられ、滞納者は不動産の所有権を失うことになります。一般的には以下のような流れで進行します。

  1. 督促・催告
    納期限を過ぎても納付が確認できない場合、まずは最初のステップとして「督促状」が送付されます。これを受け取ったにもかかわらず何の対応もしないでいると、電話や訪問による「催告」がおこなわれ、納税を強く求められます。
  1. 財産調査と差押予告
    催告にも応じないと、自治体は差押えを実行するために、預貯金、給与、生命保険、不動産などの財産調査をおこないます。調査が進むと、多くの場合、「差押予告通知書」といった書面が送られてきます。これは「このまま納付がなければ、あなたの財産を差押えます」という最終通告であり、事態がかなり深刻であることを示しています。
  1. 財産の差押え
    予告期間を過ぎても納付がない場合、ついに財産の差押えが実行されます。預金口座が見つかればその預金が、勤務先がわかれば給与の一部が差押えられ、滞納税に充当されます。不動産の場合は、法務局で「差押登記」がおこなわれます。この登記がされると、所有者であっても自由にその不動産を売却したり、担保に入れたりすることはできなくなります。
  1. 競売の実施
    不動産を差押えてもなお滞納が解消されない場合、その不動産は自治体によって競売にかけられます。競売は入札形式でおこなわれ、最高額を提示した人が新たな所有者となります。
  1. 所有権の移転と立ち退き
    公売で不動産が売却されると、その代金は滞納した税金や延滞金に充てられます。そして不動産の所有権は落札者に移転し、元の所有者は自宅であったとしても立ち退きを求められることになります。

固定資産税が払えないときの対処法

経済的な事情などで固定資産税の納付が難しい場合は、決して放置せず、できるだけ早く対処することが重要です。具体的には以下のような対処法が考えられます。

自治体の窓口に相談する

まずは、納税通知書に記載されている市町村の担当窓口に連絡し、払えない事情を正直に相談しましょう。今後の対応について、一緒に考えてもらえる可能性があります。

分納の相談

一度に全額を納めるのが難しい場合、月々など複数回に分けて納付する「分納」に応じてもらえることがあります。「支払う意思はあるが、期限までの納付が難しい」という状況を正直に伝えましょう。

徴収猶予・換価の猶予

災害や病気、事業の休廃止といった特別な事情がある場合、納税が一定期間猶予されたり、財産の差押えや売却が猶予されたりする「徴収猶予」や「換価の猶予」という制度を利用できる可能性があります。これが認められると、一定の期間で納税が猶予されたり、財産の強制売却を待ってもらえたりと、対応のための時間が得られます。

減免制度の確認

特定の条件(例:生活保護を受けている、災害で大きな被害を受けたなど)に当てはまる場合、固定資産税が減額または免除される制度もあります。対象となるかどうか、自治体に確認してみましょう。

不動産の売却を検討する

どうしても納税が困難な場合は、不動産を任意で売却し、その売却代金で納税する方法もひとつの選択肢です。強制的におこなわれる競売と比べて、任意で売却した場合はより高い価格で売却できる可能性が高く、非公開でおこなわれるというメリットがあります。

任意売却と債務整理

任意売却とは、住宅ローンや税金の滞納がある場合に、債権者(金融機関や自治体など)の合意を得て、市場で不動産を売却する方法です。競売に比べて、市場価格に近い価格で売却できる可能性が高く、プライバシーも守られやすいという利点があります。

一方、債務整理は、借金全体の返済が困難になった場合に、法的な手続きを通じて借金を減額したり、支払いに猶予を持たせたりする方法です。任意整理、個人再生、自己破産などの種類があります。

住宅ローン以外の借金も抱えている場合は、任意売却と債務整理を組み合わせて進めることで、生活再建の道筋を立てやすくなることがあります。どちらの方法が適しているかは個々の状況によって異なるため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

固定資産税は、不動産を所有するうえで避けられない重要な義務です。万が一滞納してしまうと、延滞金が発生するだけでなく、最終的には大切な財産である不動産を失うリスクもあります。もし支払いが困難になった場合は、決して放置することなく、速やかに自治体の窓口や専門家に相談し、ご自身の状況に合った適切な対処法を見つけることが大切です。