任意売却と競売で価格差が生じる?!価格差が生じる理由を解説
売却してもローンが残ってしまう不動産を手放す手段には「競売」と「任意売却」の二つの方法があります。
しかし、競売と任意売却では売却価格に差が生まれると言われています。
この記事では、競売と任意売却の不動産価格の違いや、価格差が生まれる理由について解説していきます。
任意売却と競売で価格差はあるのか?
不動産を売却する際には、少しでも高く売りたいと多くの人が考えるはずです。
では、高く売るためには競売と任意売却のどちらの方が良いのでしょうか。
結論からお話しすると、任意売却の方が高く売れるケースがほとんどです。反対に、競売で売却した場合は、相場よりもやすくなるので、任意売却と競売には価格差が生まれることになります。
競売は裁判所を通して不動産の売却が行われます。そのため、競売での売却価格は市場価格の5割から7割程度とされています。つまり、市場価格が2,000万円の住宅であれば、競売では1,000万円から1,400万円程度の価格になることが一般的です。
一方、任意売却は一般的な不動産市場で取引が行われます。そのため、市場価格と同程度での売却が期待できます。ただ、任意売却物件には通常の物件とは異なる条件が付加されることがあります。必ず高値で売れる訳ではなく、条件や交渉次第で競売と比較して高く売れる可能性があるということに注意しましょう。
このように、競売の場合は市場価格よりもかなり低い価格での売却が見込まれるため、任意売却の方が通常は価格が高くなります。
競売の価格が安い理由
では、なぜ競売では市場相場よりも安くなってしまうのでしょうか?
売却基準価格の低さ
競売では、裁判所が売却基準価格を定めます。この価格は市場相場の一定割合に基づいて決定されるため、市場価格よりも低くなります。
内見ができない
競売物件は、内見ができないケースがあります。購入希望者は物件の評価を行う際に十分な情報を得られないため、価格を低く設定する傾向があります。
考慮期間の短さ
競売物件は入札期日が決まっており、検討期間が限られています。購入希望者は短い期間内に決断しなければならないので、競売物件の価格は低く設定されることがあるのです。
占有者の存在
競売物件には、競売にかけられた元の所有者が住んでいることもあります。
この場合、新しい所有者が物件を利用するためには、元の所有者を退去させる必要があります。
占有者が退去に応じない場合、裁判所で手続きが必要となり、余計な時間と費用がかかる可能性があります。こういったケースでは、不動産価格も低くなりがちです。
競売と比較した任意売却のメリット
任意売却は通常の市場価格とほぼ同程度で不動産の売却が可能です。
また、競売と比較すると以下のようなメリットもあります。
柔軟な残債処理
競売では売却代金が全額返済に充てられるため、元所有者にはお金が残りません。
一方、任意売却では交渉次第で売却代金から引越し費用や滞納中の税金の一部を持ち出せる場合があります。
また、不動産会社を通じて債権者との交渉を行うことで、債務の一部を分割払いにするなど柔軟な処理が可能です。
スケジュールの調整
競売では裁判所が決定したスケジュールに従わなければならないため、所有者側の事情や状況は無視されます。
一方、任意売却では所有者が金融機関と相談することで、売却のタイミングや条件を比較的柔軟に調整できます。
ただし、売却期限は金融機関が決定します。一般的には、任意売却が始まってから1年ほどが売却までの期間とされています。
プライバシーの確保
競売物件はインターネットなどで公開されます。そのため、経済的に困窮したことが知人や近所の人々に知られる可能性があります。
一方の任意売却では、他の物件と一緒に情報が公開されるため、経済事情を他人に知られるリスクが低くなります。
残債処理のサポート
競売後の残債については所有者自身が金融機関や保険会社と交渉しなければなりませんが、任意売却の場合、不動産会社を通じて事前に残債に関して取り決めを行います。
分割払いが可能なケースもあるので、不動産を手放した後の生活の負担を軽減できます。
競売を回避して任意売却する方法
すでに競売の手続きが始まっている場合、早急に任意売却に向けて行動を起こしましょう。
競売を回避するためには、開札期日の前日までに任意売却の決済を完了させる必要があります。
そのため、なるべく早く不動産会社に相談し、任意売却の準備を進めることが重要です。
また、ローンの滞納が始まる前からでも任意売却の相談は可能です。返済が苦しい状況が続いている場合は、ローンの滞納が始まる前に不動産会社に相談することで、スムーズに準備を進めることができます。
早めに準備しておくことは、競売を回避できるだけではなく、市場価格よりも良い条件で売却できる可能性も高まります。
売却活動の期間を確保することで、より多くの購入希望者の目に留まる機会が増え、より有利な条件での売却が期待できます。
まとめ
競売と任意売却の販売価格には、およそ3〜5割ほどの価格差が生まれます。競売は、裁判所を通して販売され、販売期間の短さや情報の不足などから価格が安くなる傾向があります。
任意売却においては、通常の市場価格と同程度で販売できる可能性が高く、早めに準備を行うことでさらに高値で販売できることもあります。
競売を回避するためには、開札期日の前日までに任意売却の決済を完了させなければなりません。
そのため、早めに不動産会社に相談し、交渉を進める必要があるのです。
また、不動産会社を選定する際には、任意売却に関するノウハウを持っている会社に相談しましょう。
任意売却は通常の不動産取引と比較して、法律に関する専門的な知識や金融機関との交渉術が求められます。
これまでの実績などの情報を集め、信頼できる不動産会社を選ぶことがポイントです。