任意売却

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家族に知られずに任意売却はできる?プライバシーの問題

家族に心配をかけたくない一心で、住宅ローンの問題を一人で抱え込んでいませんか。その解決策として「任意売却」を考えたとき、多くの方が「家族に内緒で進められるのだろうか?」という疑問に突き当たります。この記事では、任意売却を家族に知られずに進めるための条件や方法、そしてそれに伴うリスクや注意点について、分かりやすく解説していきます。

任意売却は「通知が必要」な場面がある

住宅ローンの返済が困難になったときの有効な解決策のひとつが「任意売却」です。これは競売と違い、金融機関の合意を得て自らの意思で自宅を売却する方法で、市場価格に近い価格で売却できるメリットがあります。しかしこの問題を家族に打ち明けられず、「できれば内緒で進めたい」と考える方は少なくありません。では、実際に家族に知られずに任意売却を完了させることは可能なのでしょうか。結論からいうと、状況によっては法的に家族への通知や同意がどうしても避けられない場合があります。まず、どのような場合に家族へ伝えなければならないのか、代表的なケースについて解説します。

共有名義の場合

自宅の不動産が自身の単独名義ではなく、配偶者や親などとの「共有名義」になっているケースです。不動産を売却するには法律上、共有者全員の同意が不可欠で、ひとりでも反対すれば手続きを進めることはできません。したがって共有名義の家を任意売却する場合は、共有者である家族の同意や実印などが必要になるため、内緒で進めることは不可能です。

配偶者が連帯保証人の場合

住宅ローンを組む際に、配偶者が「連帯保証人」になっているケースも注意が必要です。連帯保証人は契約者本人と同等の返済義務を負っているため、返済が滞ると金融機関から直接、連帯保証人に督促の通知が届いてしまいます。この通知によってローン滞納の事実が伝わるため、やはり隠し通すことはできません。

家族に知られずに進めるには?

前述したケースに当てはまらない場合、進め方を工夫すれば、家族に知られずに任意売却を進められる可能性もあります。ここでは、プライバシーに配慮しながら進める具体的な方法を紹介します。

自分単独名義なら可能性あり

まず大前提となるのが、自宅不動産が自分ひとりの「単独名義」であり、かつ配偶者や親族がローンの「連帯保証人」になっていないことです。この条件を満たしていれば、家の売却に関する法的な意思決定は所有者である自分ひとりでおこなうことができます。あくまで手続き上は、他の家族の同意を得る必要がないため、内密に任意売却の話を進めるためのスタートラインに立てるということです。ただし、これはあくまで理論上の可能性であり、実際に秘密を守り通すには、後述するさまざまな配慮が必要不可欠です。

書類送付先の指定・対面の工夫

任意売却の手続きでは、不動産会社や債権者などと頻繁に連絡を取り合います。自宅への郵送物や電話は、家族に知られる直接的な原因になりやすいため、連絡方法の工夫が鍵になります。専門家へ相談する際に「家族に知られたくない」という事情を明確に伝え、以下のような対策を依頼しましょう。

・郵便物はすべて「郵便局留め」にしてもらう

・連絡は個人の携帯電話のみにしてもらい、時間帯も指定する

・メールでのやりとりを基本とする

・打ち合わせは、自宅ではなく会社の事務所などでおこなう

信頼できる専門家に頼る

任意売却は、債権者との交渉など専門的な知識と経験が求められます。相談者の事情に親身に寄り添い、秘密保持を徹底してくれる誠実な専門家を選びましょう。相談時に、プライバシーへの配慮を具体的に提案してくれるかどうか、担当者の対応をしっかり見極めることが大切です。

家族にバレてしまうケースの注意点

細心の注意を払っていても、思わぬところから任意売却の事実が伝わってしまうことがあります。ここでは、とくに注意すべき代表的なケースを見ていきましょう。

信用情報機関への登録

住宅ローンを3ヶ月以上滞納すると、その事実が信用情報機関に「事故情報」として登録されます。これは、いわゆる「ブラックリストに載る」という状態です。この情報が直接家族に通知されることはありません。しかし、もし家族の誰かがクレジットカードを新しく作ろうとしたり、ローンなどを組もうとしたりした際に、審査に通らないという事態が起こりえます。これは、生計をともにするご家族の信用状態が、審査において総合的に判断される場合があるためです。必ず影響するわけではありませんが、注意すべき点といえるでしょう。その原因を探る過程で、ローン滞納が発覚してしまう可能性があります。これは間接的ではありますが、現実的なリスクのひとつです。

郵便物・電話のやりとり

前述の対策をとっていても、何かの手違いで連絡が自宅に入ってしまう可能性はゼロではありません。とくに任意売却に移行する前の、金融機関からの督促状や催告書は、自宅に送付されるのが基本です。最初は普通郵便で届きますが、滞納期間が長引くと、受け取りのサインが必要な「内容証明郵便」や「特別送達」といった形式の郵便で送られてくるようになります。また、自宅の固定電話に金融機関の担当者から返済を催促する連絡が入ることもあります。自分以外の家族が電話に出てしまい、そこから話が知られるケースも考えられます。

家族との信頼関係と法的リスク

たとえ手続き上は誰にも知られずに任意売却を進めることができたとしても、その行為には、家族との信頼関係や法律上のリスクがともないます。最終的な判断を下す前に、これらのリスクについてもしっかりと考える必要があります。

隠して進めるリスク

自宅の任意売却をおこなえば引っ越しが必要になるため、どこかの段階で家族に打ち明けなければなりません。そのとき経済的な問題以上に、「なぜ相談してくれなかったのか」と信頼関係に亀裂が入るおそれがあります。また、すべての問題をひとりで抱え、秘密を守り続けるプレッシャーは精神的に大きな負担となります。

離婚・相続と絡んだケース

配偶者に知らせず売却したあとで離婚となると、財産分与で問題が複雑化するおそれがあります。たとえ単独名義でも、婚姻中に夫婦で築いた「共有財産」とみなされる家の売却は法的なトラブルに発展しかねません。また、親の不動産を売却するような場合は、将来の相続をめぐって他の親族とのトラブルの原因にもなります。

家族にしられないためには「慎重な進め方」が必要

ここまで見てきたように、家族に知られずに任意売却を進めるには多くのハードルとリスクがともないます。後悔しない選択をするためには、まず自身の状況(不動産名義、保証人)を正確に把握することが第一歩です。そのうえで、秘密にして進めるリスクと、正直に話して家族で協力するメリットを比較検討してみてください。どちらを選ぶにしても、ひとりで問題を抱え込むべきではありません。任意売却は専門的な知識が必要な手続きだからこそ、まずは専門家に相談することが大切です。