任意売却に係る期間は? 任意売却のプロが解説
住宅ローンの支払いが滞った場合、債権者である金融機関によって自宅が競売にかけられる可能性があります。
競売では物件が相場よりも安い価格で売られ、手元に残るお金がほとんどありません。
しかし、「任意売却」を行うことで競売のリスクを回避することも可能です。
本記事では、任意売却にかかる期間や手続きについて詳しく解説し、早急に不動産を売りたい場合のコツも紹介します。
滞納から利益喪失までの期間
住宅ローンの滞納から利益喪失までの期間は、おおむね6カ月とされています。任意売却の交渉は、利益喪失してから行います。
1カ月目
住宅ローンを滞納した場合、金融機関から支払いの依頼通知が届きます。
電話やはがき、電子メールなどを通じて通知されます。
2カ月目
金融機関からは、来店の依頼や督促状が届くことがあります。
滞納状況に応じて、より強い催促が行われることがあります。
3〜5カ月目
滞納が続く場合、金融機関からはさらなる催告が行われます。
期日までに一括返済するように求められることがあります。
6カ月目
滞納が合計で6カ月に及ぶと、金融機関から期限の利益の喪失に関する書類が送付されます。
6カ月目が滞納から利益喪失までの最終段階となります。
なお、滞納期間は連続6カ月ではなく、合計で6カ月であることに注意が必要です。
滞納した期間が合計で6カ月を超えると、売却による利益が喪失し、債権者である金融機関は競売の手続きに移ります。
任意売却を行う場合、ほとんどのケースで滞納から6カ月が経過し、利益喪失してからになります。
任意売却から実際の売却までの期間
任意売却の前提条件を満たしたら、任意売却を行うための行動を行います。
任意売却を始めるための交渉(1カ月ほど)
任意売却を行うには、抵当権をもつ債権者との交渉が必要です。
債権者と交渉を行い、返済条件の変更や返済の困難さが確認されると、任意売却の同意を得ることを目指して交渉が重ねられます。
債権者以外にも任意売却を専門とする不動産会社、弁護士などに相談し、物件の査定を行います。
債権者との交渉では、売却価格や競売手続きの取り下げ、残債の返済計画、引っ越し費用などが話し合われます。これらの合意がなされることで、任意売却が行えます。
売却活動(3カ月〜)
債権者からの同意を得たら、不動産会社と媒介契約を結び、通常の不動産販売と同様に売却活動を開始します。
家に住みながら売却活動が行われるので、生活の合間に購入希望者を内見に招くこともあるでしょう。
買主が見つかれば、売買条件を交渉し、債権者に契約内容を伝えて同意を得ます。
売買契約(〜1年)
販売協力は行う必要はありますが、任意売却は基本的に不動産会社が主導して住宅を販売します。
そのため、通常1年以内に買い手が見つかるでしょう。購入希望者が見つかれば、売買契約をかわし、正式に不動産を手放すことになります。
これまで不動産に居住していた場合は、早急な引越しも必要です。
任意売却を始めてから、ここまでの期間は半年から1年ほどです。以上の工程を持って、任意売却が完了します。
早急に売りたい場合
これまで紹介してきた期間を短縮して、早急に不動産を手放したいという人はこれから紹介する方法にも目を向けてみてください。
すぐに専門家に相談する
任意売却の流れをスムーズにする正攻法です。住宅ローンの返済が困難になった段階で、速やかに弁護士や任意売却に強い不動産会社に相談します。
任意売却は専門的な交渉が必要になるので、不動産会社によって対応が異なります。任意売却の媒介契約をできる不動産会社を早い段階で選ぶことで、売却の手続きを迅速に進めることが可能です。
不動産会社による買取を検討する
早急に手放したい場合、不動産会社による買取も検討しましょう。不動産会社が直接物件を買い取るため、買主を探す手間が省け、売買までの期間が短縮されます。
ただし、売却価格が通常よりも安くなります。
一括査定サイトを利用する
なるべく早く高く販売できる不動産会社を素早く見つけるためには、不動産会社が提供している、不動産の一括査定サイトを利用することも有効な手段です。
ネット上で申し込めば、複数の業者から一度に必要な情報が提供されます。迅速に売却価格の相場感を把握でき、査定を受けたからと言って必ずしもその会社と契約しなければいけないわけでもありません。手間を減らす有効的な手段の一つです。
早めにご相談を
任意売却によって不動産を手放すには、様々な手続きが必要で、それに応じた時間も必要になります。
利益が喪失してから、1年ほどの時間をみておいた方が良いでしょう。
ただし、専門家の力を借りたりすることでスムーズに進めることが可能です。