任意売却と競売の違いとは|任意売却の専門家が解説
不動産を手放さざるを得なくなったとき、競売にかけられるケースもあれば、任意売却ができることもあります。
どちらも、不動産を手放すことで収入を得ることは同じですが、この二つにはどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、任意売却と競売の違いについて詳しく解説していきます。
不動産の任意売却とは
不動産を競売にかけずに(競売で落札される前に)所有者・債権者・買主の納得のいく価格で売却を成立させることです。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
競売とは
「不動産競売」とは、返済が滞った債権を回収するため、債権者が裁判所に対して申し立てを行い、債務者の所有不動産を裁判所が売却する手続きのことを指します。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
競売のデメリット
不動産が競売にかけられることには、いくつかのデメリットがあります。
相場よりも安い
競売では、基本的に相場価格と比較して安い価格でしか売れません。およそ、6〜8割程度の価格で売却され、その後に競売費用が差し引かれます。このため、通常の売却に比べて売却後の返済により多くの負担がかかることがほとんどです。
強制的に追い出される
競売によって不動産の新しい所有者が決まると、債務者は家から追い出されることになります。引越し費用の補助なども期待できず、定められた日までに自己負担での引っ越しをしなければなりません。もし従わない場合、無理矢理退去させられる可能性もあります。
プライバシーが害される
競売の手続き中には、裁判所の執行官や評価人が家の現況調査を行います。また、競売の物件情報が新聞や競売サイトで公表されるため、近隣住民に知られる可能性が高くなります。そのため、プライバシーが大きく害されることとなります。
これらのデメリットを回避するために、債務者は可能な限り競売を避け、任意売却の手続きを検討することが重要です。
任意売却の流れ
競売を回避して任意売却を行うためには、以下の流れをくむ必要があります。
- 金融機関からの督促
- 現状の把握
- 価格の査定
- 債権者との交渉
- 任意売却の開始
- 売買契約の締結
- 決済・引渡し
- 残債務の返済
詳しくは以下の記事をご覧ください。
任意売却の注意点
任意売却は、競売よりも不動産を高く売れるというメリットがあるものの、いくつか注意点もあります。
連帯保証人にも合意をとる
任意売却を進めるには、債権者だけではなく連帯保証人の合意が必ず必要です。状況を正直に伝え、詳細に説明し理解を得る必要があります。
売却期間は債権者が決める
任意売却の売却期間は、債権者である金融機関の同意を得て決定されます。債権者は競売の申し立て権限を持つため、売却期間の決定権も持っています。
売買契約にも債権者の合意が必要
任意売却の合意を得ても、売買契約の条件や対応次第では債権者の承認が得られない可能性があります。売却活動中も債権者に報告や相談を行い、信頼関係を築くことが大切です。
任意売却と競売を比較
任意売却と競売を以下の図にて比較してます。
競売と比較すると任意売却の方が売買価格やプライバシーの保護の観点などで、今後のライフプランを考えるのに有利になりやすいことが分かります。
任意売却 | 競売 | |
---|---|---|
売買価格 | 市場価格と同等 | 市場価格の5~6割で落札される可能性 |
返済金額 | 競売より多い | 任意売却より少ない |
プライバシーの保護 | プライバシーは保護されます | 宅内の写真がインターネットに掲載 |
管理費等の滞納金 | 売買代金内で支払えます | 落札者から請求される可能性あり |
残債について | 債権者は相談に乗ってくれます | 給与差し押さえがされる可能性あり |
引っ越し費用 | 債務者から認めてもらえます | 自費で引っ越しし、強制退去になることあり |
売却先(買主) | 買主を選ぶことができます (買戻等可能) | 誰が落札するかわからない |
まとめ
任意売却は競売と異なり、債権者である金融機関の任意の元で不動産を売却できるシステムです。
競売と異なり、通常の不動産売買とちかい相場で取引が可能なため、手放した後の残債の負担が軽くなるということが大きなメリットです。
任意売却を成功させるためには、任意売却に強い不動産会社を選定することが最も大切です。
ホームページや過去の実績を参考に任意売却に強い不動産会社を選定しましょう。